人が集まらない会社は、採用活動の前に「職場」を間違えている

採用応募が増えない原因は、求人媒体でも給与でもありません。
ほとんどの場合、「この会社で働きたい」と思わせる職場になっていないだけです。

地方の小さな工務店を経営していた頃、
同業他社やパートナー企業から
「よく学生が集まるね」
と声をかけられることがありました。

マイナビを使っているのか。
リクルートなのか。

正直に言えば、
媒体は本質ではありません。

―――――――――――――――――

■ 求人を出しても人が集まらない理由

求人を出して、
応募があって、
面接をして……。

この流れがスムーズに回る中小企業は多くありません。
特に地方では、そもそも求職者の数が少ない。

「誰でもいいから手伝ってほしい」
そう思ったことがある経営者も多いはずです。

私自身、同じ気持ちを何度も味わってきました。

でも、振り返ってみると、
採用がうまくいかなかった原因は
人手不足でも、景気でもなかった。

会社の“中”が、選ばれる状態になっていなかっただけ
だったのだと思います。

―――――――――――――――――

■ 採用応募が増えた一番の理由

採用は、情報戦ではなく空間戦です。

私が一番力を入れていたのは、
オフィスレイアウトでした。

働きやすい職場とは何か。
生産性が上がる環境とは何か。

そう考え続けた結果、
2〜3年に一度は必ずオフィスを見直し、
改装や配置換えを行っていました。

社員数が変わる。
業務内容が変わる。
会社のフェーズが変わる。

同じ会社でも、
最適なレイアウトは常に変わります。

だから、
一度つくって終わりにはしませんでした。

―――――――――――――――――

■ フリーアドレスが機能した理由

前職で採用していたのは、フリーアドレスです。

建築の仕事は、
一人で完結する仕事ではありません。

顧客の特性。
敷地条件。
現場で起きた出来事。

共有すべき情報が、とにかく多い。

設計者が黙々と集中する時間も大切ですが、
チームで会話し、判断をすり合わせる時間も同じくらい重要です。

だから、
自然と人が集まり、
ディスカッションが生まれる空間を用意しました。

一方で、
集中が求められる設計メンバーには固定席と高性能PC。

働き方に合わせて空間を分ける。
それだけで、職場の空気は驚くほど変わります。

―――――――――――――――――

■ 採用に効いた「オフィス立地」という視点

オフィス立地というと、
交通の便を思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それも大切です。

ただ、私が重視していたのは別の視点でした。

オフィスそのものが、採用の集客ツールになるかどうか。

あんなオフィスで働いてみたい。
そう思ってもらえるか。

だから、
人通りのある場所。
車から見える場所。
そして、路面店。

顧客のためだけではありません。
一緒に働く仲間に見つけてもらうためでもあります。

―――――――――――――――――

■ 給与競争より、オフィスデザインを選んだ理由

建設業の有効求人倍率は5倍を超えています。
簡単に人が集まる状況ではありません。

初任給を上げる。
それも一つの選択です。

ただ、
1万円では響かない。
5万円上げて、ようやく実感が出る。

社員が10人いれば、
年間600万円の固定費増になります。

しかも、その期待は翌年も続く。

それなら、オフィスの価値を上げた方が持続性がある。

スチールデスクをやめ、
木材で造作デスクをつくる。

それだけで、
空気は一変します。

住宅の仕事をしている会社が、
自社のオフィスで
住空間の価値を表現していない。

それは、少しもったいないと感じていました。

―――――――――――――――――

■ 新卒・第二新卒が見ているもの

新卒や第二新卒は、給与より「ここで働く自分」を想像しています。

会社見学は、ほぼ確実に入ります。
そのときに
「ここで働きたい」
と思ってもらえるかどうか。

そこをクリアできれば、
大手との給与競争をしなくても選ばれます。

オフィスは、
数字に表れにくいですが、
確実に効く採用ツールです。

―――――――――――――――――

■ まとめ

採用応募が増えないとき、
最初に見直すべきは求人票ではありません。

職場です。
空間です。
会社の内側です。

そこが整えば、
採用も、集客も、
社員のモチベーションも、同時に動き出します。