住宅会社のDXは導入するな|経営者が知らない“失敗するDX”の共通点
DXは導入するな
── そのDX、本当に必要ですか?
経営者の仕事は、それ自体が社会貢献だ
経営者の仕事は、間違いなく社会貢献です。
地域に雇用を生み、税金を納め、経済を回している。
特に住宅業界は、地域の職人を支え、国産資材を多く使い、
経営をしているだけで地域経済に直結する存在です。
GDPは国内消費で成り立っています。
つまり、営利企業を経営し続けること自体が社会への貢献です。
それにも関わらず、経営者には次々と制限がかけられます。
経営を縛るルールは増えるが、守るルールは増えない
労働法をはじめとした各種ルール。
もちろん、悪質な経営者が一定数いるのは事実でしょう。
ただ、一律の基準をすべての会社に当てはめられるのは、正直きつい。
労働時間、最低賃金、コンプライアンス。
一方で、バッタ屋のような極端な安売りや、
大手ディスカウントショップの価格競争には歯止めがない。
利益が出れば税金を取られ、
利益が出なければ倒産しても誰も助けてくれない。
長時間労働や低賃金を肯定するつもりはありません。
ただ、経営に制限をかける法律は増えるのに、
経営を守る法律が増えているようには、どうしても思えないのです。
不満を書けば、まだまだ続きますが、今日は本題に戻します。
そんな状況で、DXが勧められる
こうした環境の中で、次にやってくるのがDXです。
「生産性向上」
「効率化」
この言葉を掲げたツールの営業電話が、
毎日のようにかかってきていないでしょうか。
では、DXを導入するとどうなるのか。
はっきり言います。DXで生産性は上がりません
少なくとも、導入した瞬間には上がりません。
IT補助金があったとしても、自己負担は必ず発生します。
多くのツールはサブスクリプション契約ですから、
初期費用に加えて、毎月・毎年の固定費が増えます。
さらに問題なのは、導入後です。
社員は慣れない操作に戸惑いながら使うことになります。
説明会はあるでしょう。
しかし、それは「どの会社でも使える」汎用的な説明です。
自社の業務に合わせて使いこなすには、
時間と手間がかかります。
その間も、日々の業務は止まりません。
つまり、生産性は下がる。
高いお金を払ったシステムほど、使われなくなる
導入からしばらく経つと、こうなります。
高額な費用を払ったシステムが、
ほとんど使われていない。
理由を聞けば、
「使いにくい」
「使い方が分からない」
「前のやり方の方が早い」
これは、私自身が実際に経験したことです。
DXが社長の仕事を増やす瞬間
さらに悪いケースがあります。
「社長、これってどうしたらいいですか?」
ITに詳しい経営者は、正直ごく一部です。
「いや、俺もよく分からないな」
そう言いながら、社員と一緒に画面をにらむ。
これも立派な業務時間です。
しかも、何も生みません。
いかがでしょうか。
DXとは、本当に効率化なのでしょうか。
問題はDXではない。業務のつながりだ
ここで勘違いしてはいけません。
問題はDXそのものではありません。
業務のつながりを理解せずに導入することです。
営業、見積、設計、現場管理、アフター。
DXツールは、このうちの「一部」しか担いません。
どこをDXに置き換えれば、
どこが本当に楽になるのか。
ここを設計せずに導入すれば、失敗するのは当然です。
DX営業の話を、そのまま信じてはいけない
システムの営業は、自社ツールのメリットを説明します。
それが仕事です。
ただし、多くの場合、営業担当者は住宅業界の経営経験者ではありません。
仮に業界経験があっても、
営業や現場管理など、一部分しか見ていないケースがほとんどです。
経営者の視点で、
業務全体を俯瞰して見てきたわけではない。
だから、
どこがボトルネックになっているのか。
何が生産性を下げているのか。
ここまでは分からないのです。
DXは「解決策」であって「出発点」ではない
本来、DXはこうあるべきです。
まず、業務全体を整理する。
次に、ボトルネックを特定する。
その上で、必要な部分だけをDXで補う。
この順番を間違えると、
DXはただのコストになります。
いきなりかかってきた営業の話が、
良さそうに聞こえるのは当然です。
彼らは説明のプロです。
でも、口車に乗ってはいけません。
DXの前に必要なのは、設計だ
手前みそになりますが、
少なくともITに精通し、
経営者として業務全体を見てきた第三者は必要です。
とりあえず試していいシステム。
とりあえずで導入してはいけないシステム。
今はまだ必要のない会社規模。
今すぐ入れるべきタイミング。
優先順位も、リソースも、会社ごとに違います。
そして何より重要なのは、
どこを効率化する必要があるのか。
必要のない業務を効率化するのは、ただの無駄遣いだ
効率化とは、目的ではありません。
手段です。
必要のない業務を効率化しても、
会社は楽になりません。
むしろ、社員は疲弊します。
自社のメンバーが限界を迎える前に、
一度、業務全体を設計し直してみませんか。
DXは、その後で十分です。