【施主を見てもブランドはできない。市場を見てブランドをつくろう】
■ 住宅会社にとって「施主」は最重要であり、最強でもある
我々、中小零細住宅会社にとって施主様は極めて重要な存在です。
なにしろ、住宅は1棟で会社の利益構造を左右する商品です。
仮に、1棟あたりの粗利益が500万円だとしましょう。
これをキャベツで稼ごうとすると、1個30円の利益として5万個売る必要があります。
5万個のキャベツを、1個ずつ吟味して仕入れる人はいません。
住宅だけが、なぜか「1棟ずつ魂を削って」つくられます。
■ 住宅は「一棟集中型ビジネス」である
住宅は
・営業
・設計
・現場
・管理
など、少人数で1棟に集中投下されます。
そのため
「この施主を逃したくない」
「この一棟を失注すると痛い」
という心理が働きます。
結果、施主の要望をすべて受け止めにいく設計になりがちです。
■ 施主に寄せすぎると、会社の個性は削れていく
ここが重要なポイントです。
施主の要望を叶えることと、ブランドをつくることは別物です。
一棟一棟、施主の好みに全振りしていると
・会社としての「型」が残らない
・次の提案に使える資産が積み上がらない
・結果、毎回フルオーダー地獄になります
■ 「施主を見る」から「市場を見る」へ視点をずらす
ブランドは
「目の前の一人」
ではなく
**「その背後にある市場」**から生まれます。
・どんな暮らしを求めている人が増えているのか
・どんな住宅が10年後も価値を保つのか
・どんな家なら“選ばれ続ける”のか
これを考え、顧客像に対する住宅テンプレートを磨くことが、ブランド構築です。
■ インスタに流された家は、インスタと一緒に古くなる
正直に言います。
・施主がExcelで描いた間取り
・Instagramで見た流行の寄せ集め
・「今っぽい」だけのデザイン
これらは、数年後に負の遺産になりがちです。
住み手が途切れない家。
資産として残る家。
それをつくれるのは、施主ではなく住宅会社です。
ここで誤解してほしくないのは、
「施主を無視しろ」と言っているわけではないという点です。
施主の声は大切です。
ただし、それは「答え」ではなく「ヒント」です。
施主の要望をそのまま形にするのは設計ではありません。
それは代行作業です。
本来、住宅会社がやるべきなのは
施主の言葉を翻訳し、整理し、
「この会社らしい形」に昇華させることです。
そのためには
・自社がどんな家をつくる会社なのか
・どんな価値を守りたいのか
・どんな市場に立ちたいのか
この軸が必要になります。
施主に合わせすぎる会社は、
どの市場にも立てず、
どの価格帯にも居場所がなくなります。
次回は
「施主の要望を“断る”技術が、なぜブランドを強くするのか」
この話をします。