住宅会社の適正な利益とは?利益率30%が危険になる理由を経営者目線で解説
この業界で仕事をしていると、気になるのが「利益率」です。
「あの会社は30%」「うちは25%」など、数字だけが一人歩きしがちです。
同業他社の見学会に行くと、必ずこう聞く社長がいます。
「おたくは利益率どれぐらい?」
他の参加者も、誰かが答えるのを待っている。
自社の利益率が高いのか安いのか、判断できないからです。
でも私は思います。
利益率は便利な指標ですが、それだけで“適正”は決まりません。
■ 利益率30%で計算すると何が起きるか
仮に利益率を30%とします。
例で整理します。
平屋30坪の住宅(原価60万円/坪)
30坪 × 60万円 = 1,800万円
利益率30%で販売価格を作ると、約2,570万円(利益約770万円)
一方で、予算が小さいため小さめの住宅にした場合。
平屋15坪の住宅(原価45万円/坪)
15坪 × 45万円 = 675万円
利益率30%で販売価格を作ると、約965万円(利益約290万円)
同じ30%でも、利益は倍以上違います。
■ 経費は本当に半分になりますか?
ここが本題です。
利益が倍違うのに、工事にかかる経費が半分になるでしょうか。
住宅の大きさが半分になっても、工事の種類はほぼ同じです。
基礎もある。木工事もある。
部材の発注もある。養生もする。現場管理も必要。
床材が無垢か合板かで単価は変わっても、発注や段取りの手間は同じです。
釘もボンドも同じように必要になります。
つまり、こういうことです。
売上が小さくなっても、経費は比例して小さくならない。
■ 利益は「大きさ」と強く相関しない
もちろん、大きい住宅は工期が延びます。
その分、経費は増えます。
しかし、30坪の住宅と60坪の住宅で、工期が倍になるかというと違います。
一般的にキッチンは1つ、お風呂も1つ。
部屋が広くなっても、部屋数が倍になるわけでもありません。
だから私は、利益は住宅の大きさとそれほど相関しないと考えています。
■ だから私は「利益を固定額」にしていました
この結論として、私は利益を率ではなく「固定額」で考えていました。
固定額にすると、年間計画が明快になります。
棟数 × 固定利益で、粗利の計画が立ちます。
そして、利益を先に確保できていれば、
キッチンや浴室といった設備は「原価ベース」でお客様と話せます。
■ 相見積もりで比較されるのは“定価がある商品”です
相見積もりをするお客様が比較するのは、ほぼ決まっています。
キッチン、ユニットバスなど、定価があり分かりやすい商品です。
逆に、木工事や断熱工事は内容が分かりづらく比較されにくい。
だから、設備を原価に近い見せ方にできると、見積書上は「安く見える」。
これは値引きではありません。
利益の取り方を“率”から“構造”へ変えただけです。
■ 標準化は、経費を抑えるだけでなく満足度にも効く
さらに、部材の共通化、標準仕様、標準図集の整備など、
経費を抑える工夫はたくさんできます。
これは単なるコストダウンではありません。
現場の迷いが減り、品質が安定し、結果として顧客満足にもつながります。
この話は長くなるので、また別の機会にまとめます。
■ まとめ:利益率の前に「利益額」を決める
利益率の数字を追う前に、最初に決めるべきはこれです。
自社にとって、1棟あたり最低いくら利益が必要か。
ここが定まらない限り、
「うちは何%が適正か?」という議論はいつまでも噛み合いません。