住宅会社の営業が利益を取れない本当の理由|値引き体質を変える経営者の役割
【利益をとれない営業】
営業スタッフがいる会社では、こういう悩みが起きがちです。
「なぜか、あの営業だけ毎回利益が出ない」
理由は複数あります。
ただ、根っこにある原因はシンプルです。
住宅の価値に対する“認識不足”。
これがあると、値引きが当たり前になります。
■ 利益が出ない営業は「値引き」が癖になっている
利益を取れない営業の行動は、だいたい同じです。
・価格の話になると弱気になる
・比較されるとすぐ譲る
・最後は「少し下げれば決まる」と考える
これを営業スキルの問題に見せがちですが、違います。
価値の理解が浅いまま、価格交渉に入っているのです。
■ 「原価100円を1000円で売る」は悪ではない
例えば、原価100円のものを1000円で売ったとします。
100円のものでも、1000円で買う人がいる。
それは、買う側がその商品に1000円の価値を見出しているからです。
・その地域に行かないと手に入らない
・人気で抽選に落ちたが、どうしても欲しい
・入手の手間が価値になっている
転売の話に見えるかもしれませんが、原理は同じです。
営利企業は、価値を届けて対価を得る。
住宅会社も例外ではありません。
■ 住宅は「原価」だけでできていない
住宅の場合はもっと分かりやすいはずです。
原価の裏側に、次のコストが確実に乗っています。
・図面作成の時間とコスト
・発注作業の人件費
・現場管理スタッフの人件費
・検査やチェックの人件費
・手作業が多い業界ならではの技術料
これらは、完成するまでのコストです。
ここまでは多くの人が理解しています。
問題は、その先です。
■ 住宅は「完成した後」もコストが続く
住宅で肝心なのは、完成後のメンテナンスです。
住宅は初期不良の幅が大きい。
ちょっとしたことは無償で直している会社が多いはずです。
例えばクロスの割れ。
2年間の補償を付けている会社も多く、
その期間中は自社の持ち出しで補修しています。
つまり、利益が薄い案件ほど、
完成後に苦しくなる構造があるのです。
■ 実は「データ保管」も住宅のコストになっている
メンテナンスのために必要なものがあります。
・図面データ
・見積書
・発注データ
・施工中写真
・検査記録
これらを整理して、邸別に保管していますよね。
そして最近、見落とされがちなのが
保管領域(ストレージ)のコスト増です。
社内PCに保存する会社もあります。
ただ、パソコンは壊れます。必ず壊れます。
外付けハードディスクでも、万が一の故障で
データがまとめて消えることがあります。
RAIDなどの仕組みを組まないと、安全性は上がりません。
さらに、火災、落雷、水害などの自然災害。
「焼失」や「破損」は現実に起きます。
だからこそ、
本体保管+バックアップ
しかも、社内ではなくクラウド等に退避する。
これは最低条件です。
今の住宅会社は、建築だけでなくITの知識も必要になります。
■ その保管コストは、誰が払っているのか
住宅会社は建築時に契約金額をいただきます。
しかし、その後、リフォーム等がなければ入金はありません。
にもかかわらず、
データ保管やバックアップの費用は毎月かかり続ける。
つまり、これらはすべて
会社の持ち出しになります。
工事写真まで含めるとデータ容量は膨れ上がります。
この「見えない維持コスト」は、
住宅価格が上がる要因の一部にもなっています。
■ 利益を取れない営業は、この価値を知らない
「うちの家づくりは高すぎる」
「もう少し安くしないと売れない」
こう嘆く営業は多いです。
しかし、その理解が浅い。
価格に含まれているのは、原価と職人の手間だけではありません。
・長期のデータ保管
・バックアップ費用
・信頼性の高いPCや環境
・メンテナンスの持ち出し対応
・品質を守るための管理コスト
これらを経営者は
「お客様のため」と持ち出しで支えてきたわけです。
■ 会社の価値は「積み重ね」と「リスク」でできている
自社だからできる設計やデザイン。
それは一朝一夕では作れません。
挑戦してきた積み重ねがある。
リスクを背負って試してきた歴史がある。
やり直しになったこともある。
大幅な修正を迫られたこともある。
きちんと利益を得ているからこそ、
挑戦ができる。
笑顔でメンテナンスに応じられる。
利益は、会社の未来と姿勢を守るための原資です。
■ 値引きをする営業は「知らない」か「腹落ちしていない」
値引きをする営業は、だいたい次のどちらかです。
・価値を知らない
・知っていても、価格と結びついていない
頭で理解していても、心まで落ちていない。
その状態で価格交渉に入るから、負けます。
■ 経営者の仕事は「価値を言語化して営業に渡すこと」
値引きをする営業だけを責めても解決しません。
原因の一部は、会社側にもあります。
価値が、社内で共有されていない。
営業が「説明できる材料」を持っていない。
だから経営者のみなさんは、時間を取ってください。
自社の住宅の価値を、営業スタッフに伝えてください。
・何にコストがかかっているのか
・なぜその価格になるのか
・利益があるから何が守れるのか
これが腹落ちした営業は、値引きで逃げなくなります。
価格を守れるようになります。