住宅会社の利益率はどれくらいが適正?コスパ時代に価格が比較される本当の理由
最近、妙に耳につく言葉があります。
それが「コスパ」です。
品質は高くて当たり前。
食品は美味しくて当たり前。
車は安定して走って当たり前。燃費が良くて当たり前。
時計は正確で当たり前。
パソコンは初期不良がなくて当たり前。
となると、人は何で比べ始めるか。
答えは「価格」です。
■ コスパとは「価格の割に〇〇」が良いこと
コスパはコストパフォーマンス。
「価格の割に品質が良い」
「価格の割にサービスが良い」
という意味で使われます。
そして厄介なのは、
当たり前の水準が上がった結果、差が見えにくくなることです。
■ 住宅も「品質が良くて当たり前」の世界になった
住宅も同じです。
資材には選択肢があるものの、
わざわざ品質の低いものを選ぶ会社は多くありません。
結果として、資材の品質も原価も似たり寄ったりになってきています。
職人さんの人件費も、地域差や会社差はある。
ただ、決定的な差になるほど開くケースは多くありません。
■ 利益率の差は、実はそこまで大きくない
経営者は利益率を気にします。
ただ、実際には業界全体で見れば、案外差は大きくありません。
資材単価は大きく変わらない。
人件費も大きく変わらない。
販売価格も、上げすぎれば売れなくなる。
だからこそ、
「うちは高い」
これは、どの住宅会社でも出てくる合言葉になります。
■ とびきり安い会社があるのは「原価低減の仕組み」があるから
それでも、驚くほど安い会社があります。
ここには必ず、仕組みによる原価低減があります。
■ 複数棟を同時に建てる会社は“現場コスト”が落ちる
分譲がセットで、近い場所で同時に複数棟を建築する会社があります。
こうすると、現場コストが落ちます。
例えば次のようなものです。
クレーン車のリース代
配送費
作業員の移動時間
クレーンだけではありません。
足場、仮囲い、仮設トイレ、産廃回収、現場看板、職人の駐車場。
複数棟でまとめれば、全部が原価低減につながります。
■ 建売り専門の会社は“打合せコスト”が落ちる
建売りを専門にしている会社は、そもそも打合せコストが落ちます。
設計士の人件費
プラン修正にかかる時間
変更に伴う再発注や再調整
これらが大きく削減できます。
大手メーカーが規格プランを多用するのも同じ理由です。
オプションを少なくするのも、ユーザーを迷わせないためだけではありません。
打合せ回数を減らし、コーディネーターの稼働を減らす目的もあります。
■ 安さの裏側には“アフターの設計”もある
さらに見落とされがちなのがアフターです。
保証書は当然ある。
ただ、どこまで無償で、どこから有償なのか。
この線引きは会社によって違います。
一般的に、
「うーん、それはうちが悪いわけではないんだよね」
という領域まで無償になってしまう会社は多い。
一方で、ここをバッサリ線引きし、
利益低減(=コスト削減)をしている会社もあります。
■ 住宅会社は、安さの理由を“事前に”言わない
こうした構造は、住宅会社側も知っていることが多いです。
ただ、SNSや自社サイト、ニュースレターで発信しません。
ユーザーに「高いよね」と言われてから、
言い訳のように唱え始める。
だから、言い訳に見える。
結果、信頼を得られない。
本当は逆です。
最初に言っておけば、「理由」になります。
後から言うと「言い訳」になります。
■ 大手メーカーが高利益率かというと、そうでもない
シャネル、グッチ、ロレックスのような世界的ブランドは別として、
高利益率を載せて販売しているメーカーは多くありません。
住宅の大手も同じです。
高利益率というより、経費構造が大きい。
展示場
豪華なモデルハウス
立派な自社ビル
採用コスト
教育コスト
離職や人材流動のロス
こうした経費が毎月積み上がるため、
利益率が突出して高いわけではありません。
■ 中小が戦っている市場は、案外健全かもしれない
中小零細で人材不足に悩む。
モデルハウスがないことで機会損失が怖い。
その不安は理解できます。
ただ、別の角度で見れば、
大手のような巨大固定費を背負わずに戦える市場でもあります。
案外、健全な市場で勝負しているのかもしれません。
■ まとめ:利益の話を“先に”語れる会社が強い
住宅はコスパで比較されやすい。
だからこそ、価格に含まれるものを先に語れる会社が強くなります。
安さには仕組みがある。
価格には理由がある。
利益にも意味がある。
こうした話は、知識として知っていても、
他者の言葉として聞くことで腑に落ちることがあります。
そんな発信も、今後続けていきます。