住宅会社は値引きをやめるべき|薄利多売では利益を守れない時代の経営戦略
会社を経営していると、他社との競合は避けられません。
その競合の中で、いつも感じることがあります。
それは、利益をきちんと考えずに動いている会社が多いということです。
そして、利益を削る行為の中でも、最も悪いのが「値引き」です。
■ プライシングは経営者の仕事であり、会社の戦略そのものです
ビジネス書を読むと、よく「値付けは重要だ」と書かれています。
いわゆるプライシングです。
これはその通りだと思います。
ローコスト戦略でいくのか。
ハイクラス戦略でいくのか。
会社の方向性は、価格の決め方でほぼ決まります。
つまり、プライシングは単なる数字合わせではなく、
経営そのものです。
■ 値引きは売上調整ではなく、利益を削る行為です
値引きには、いろいろな名前があります。
・見学会貸与値引
・平日打合せ値引
・特別値引
・決算値引き
名前は違っても、やっていることは同じです。
利益を削っているだけです。
協力業者や下請け、つまりビジネスパートナーに協力してもらうこともあるでしょう。
ただ、本来値引かなければ、その分は自社の利益として残せたお金です。
■ 最初から値引き分を上乗せしていても、本質は変わりません
経営者の中には、
「うちは最初から値引き分を乗せてある」
という方もいます。
ですが、それでも本質は同じです。
値引かなければ、その上乗せ分は利益になります。
つまり、削る前提で作っていたとしても、
本来得られた利益を自分で捨てていることに変わりありません。
■ 顧客が減る時代に、薄利多売はますます苦しくなります
その上、新規顧客は年々減っています。
少子高齢化。人口減少。
世帯を持たないという考え方も広がっています。
戸建て住宅を必要としない人も、今後さらに増えるでしょう。
つまり、住宅業界のユーザーはこれからも減り続けます。
そう考えれば、
薄利多売の戦略はますます厳しくなるはずです。
■ 品質に対する目線は、これまで以上に厳しくなっています
今のユーザーは、品質にも非常に厳しい目です。
新築インスペクションは広がっています。
SNSを見れば、現場の品質不良を批判する投稿や、
完成後の不具合を公開する動画があふれています。
中には、完全にカスハラと言ってよいような内容もあります。
それでも、そうした発信が広がる時代です。
つまり、
数を売れば良い時代ではないということです。
■ これから必要なのは「薄利多売」ではなく「適正利益適正棟数」です
多売で経営を成り立たせようとする考え方は、もう合いません。
薄利であれば、どこかで無理が出ます。
現場にしわ寄せが行くかもしれない。
メンテナンスが苦しくなるかもしれない。
働く人が疲弊するかもしれない。
だから考えるべきは、
薄利多売ではなく、適正利益適正棟数です。
無理のない棟数で、
きちんと利益を確保する。
これが、これからの住宅会社に必要な経営です。
■ 「コスパが良い」と「安売り」は同じではありません
今は、安いものが「コスパが良い」と評価されやすい時代です。
「良心的」と言われ、人気が出ることもあります。
ただ、住宅は違います。
年間の生産量を簡単に倍にはできません。
技術力に不安のある職人に、気軽に任せられる時代でもありません。
そう考えれば、
住宅会社が安売りで勝負するのは無理があります。
■ 値引きが当たり前になると、お客様の感覚まで変わります
少し話はそれますが、私はユニクロで服を買うことが多いです。
ただ、セールになることが分かっているので、
定価で買うと少し損した気分になります。
おそらく、同じ感覚の方も多いのではないでしょうか。
住宅も同じです。
値引きが当たり前になると、
値引きなしで契約すると損した気分になるお客様が出てきます。
これは、業界全体で自分たちの首を絞めているのと同じです。
■ だからこそ、これからの住宅会社は「値引きをしない」でいくべきです
これからの時代、住宅会社は値引きを前提に戦うべきではありません。
値引きで競い合えば、
利益が減る。
品質維持が苦しくなる。
結局、自分たちの未来を削ることになります。
だからこそ、
住宅会社は「値引きをしない」方向へ進むべきです。
■ 良いライバルとして競うことが、業界全体を良くします
住宅会社同士は、これから良いライバルとして切磋琢磨すべきです。
品質を高める。
提案力を磨く。
ブランドを育てる。
価値を伝える。
そうやって競うのが本来の姿です。
相手を蹴落として自分だけが伸びようとすると、
その流れは必ずどこかで自分に返ってきます。
だから私は、これからの住宅会社こそ
値引きではなく価値で勝負するべきだと思っています。