社員育成は社長の信念で決まる|中小企業で人が育たない本当の理由

■社員育成の本質は「社長の信念」で決まる

中小零細企業において、最も重要なのが社長の信念です。

会社が大きくなると、社長の信念は末端まで届かなくなります。
しかし、私が支援対象としている50人前後の会社であれば、
社長の信念を全社員に伝えきることは十分可能です。

一つの目安としては、
社長が社員の顔と名前、性格を一致して把握できる規模。
この規模であれば、信念は「伝えるもの」ではなく「浸透させるもの」にできます。

そして結論です。

社員育成において最も重要なのは、社長の信念を伝えることです。

■中途社員でも信念は伝わっていない

よくある勘違いがあります。

「中途社員は即戦力だから育成はいらない」

これは違います。

確かに中途社員は小手先の技術は高い。
しかし、社長の信念を理解しているかというと、新卒と大差ありません。

つまり、中途採用をしても、
育成の本質は何も解決していないのです。

■大企業経験が強みにならない理由

最近では、超有名企業出身の人材を評価する流れがあります。

もちろん、それ自体を否定するつもりはありません。
ただし、大企業と中小零細企業では前提が違います。

大企業では、社長の信念は構造的に伝わりにくい。
仕組みで動く組織だからです。

一方で中小零細企業は、
社長の信念そのものが経営の軸です。

そのため、大企業のやり方をそのまま持ち込んでも、
かえってズレが生まれることがあります。

■信念で会社の方向はここまで変わる

例えば住宅会社で考えてみます。

社長の信念が違えば、会社の動きはまったく変わります。

利益重視の会社
家を売って利益を最大化する
FCや不動産事業に広げて収益を拡大する

品質重視の会社
長持ちする住宅を提供し、社会資産にする
部材や設計ルールを厳密に選定するためFCには参加しない
耐震性や維持管理性を優先する

感性重視の会社
自分のセンスを軸にブランドをつくる
モデルハウスやオフィスのデザインを磨き続ける

これはあくまで一例ですが、
信念によって経営も社内の空気もすべて変わります。

■信念がズレると組織は機能しない

例えば

「売って売って売りまくれ!」

という信念の社長のもとで

「この部材を使うと長持ちしますよ」

という提案が出たとします。

この提案自体が悪いわけではありません。
しかし、社長の信念を理解しているとは言えません。

ここがズレていると、
社員は「何を優先すべきか」が分からなくなります。

■会社は「船」である

私は会社を「船」に例えています。

電車のようにレールが敷かれていて、決まった駅に向かうものではありません。
どの島に向かうのかを決めるのは船長、つまり社長です。

社員は進言することはできます。
でも最終的に方向を決めるのは社長です。

だからこそ、
社長が信念を示さなければ、会社は漂流します。

そして社員は、
利益なのか
品質なのか
トレンドなのか

その羅針盤を失います。

■信念は日々の育成で伝える

社員育成は、学校の勉強とは違います。

重要なのは「なぜ」です。

なぜ利益を出すのか
利益を出すと何が起きるのか
どうすれば利益が出るのか
そのために自分の役割は何か

これを日々の中で伝えていくことが、育成です。

そしてこれは、
社長にしかできない仕事です。

■まとめ

社員育成は、研修でも制度でもありません。

社長の信念を伝え続けること。

これができて初めて、
組織は同じ方向を向きます。

ぜひ、信念を軸にした育成に取り組んでみてください。