住宅会社の利益率はなぜ違うのか|中小工務店が高付加価値住宅を目指すべき理由

【利益率が高い会社をうらやむ前に考えるべきこと】

利益についての考え方を書いていきます。

住宅会社では、利益額をパーセンテージ、つまり利益率で決めている会社が多いです。
同業者同士の会話でも、よくこんなやり取りがあります。

「おたくは利益率いくつ?」
「うちは30%ですね」
「えー、いいなぁ。うちは25%だよ」

こういう会話、よくありますよね。

ただ、この話は数字だけを見ても意味がありません。
本当に考えるべきなのは、なぜ利益率を高く設定できるのかということです。

■ 利益率の違いは、そのまま利益額の違いになります

例えば、3,000万円の住宅を建てるとします。

利益率30%なら、利益額は900万円。
利益率25%なら、利益額は750万円です。

この時点で、150万円の差が生まれます。

多くの経営者は、この150万円を見て
「30%取れている会社はうらやましい」
と感じます。

でも、本当に見るべきはそこではありません。
なぜ30%で売れるのかです。

■ 利益率を高くできる理由は「商品価値」です

同じような住宅が2棟あって、価格だけが違うなら、たいていのお客様は少しでも安い方を選びます。
これは自然なことです。

しかし、まったく違う住宅が2棟あったらどうでしょうか。
安い住宅を選ぶ人もいれば、自分の好みに合う住宅を選ぶ人もいます。

ここで決まるのが、商品価値です。

価格でしか比べられない住宅は、価格競争になります。
価値で比較される住宅は、利益率を守りやすくなります。

■ 大衆住宅は売りやすいが、商品価値は低くなりやすい

サイディング張り、合板フロア、クロス仕上げ。
こうした住宅は、多くの工務店が得意とする大衆住宅です。

もちろん、悪いわけではありません。
ただ、似たような仕様の会社が多いため、どうしても比較されやすい。

比較されやすいということは、価格が焦点になります。
つまり、商品価値が低く見えやすい住宅になってしまうのです。

■ 価値の高い住宅は、利益率を高くして当然です

一方で、漆喰壁、無垢床材、高断熱といった住宅はどうでしょうか。

私は、こうした住宅を「商品価値の高い住宅」だと考えています。

ただし、価値が高いから楽に儲かるわけではありません。
むしろ逆です。

漆喰も無垢材も高断熱も、サイディングや合板と比べれば工期が伸びます。
設計の難易度も上がります。
管理コストも上がります。
仕入れコストも上がります。

さらに、無垢材は合板フローリングよりメンテナンスの必要性も高く、補修が発生する可能性も増えます。

つまり、商品価値が高い住宅は、
経費もリスクも高い住宅なのです。

だからこそ、利益率は高めに設定しておかなければなりません。

■ ハイクラス住宅には「希少性」もあります

もう一つ重要なのが希少性です。

価値の高い住宅を求めるお客様は確実にいます。
ただ、そのお客様が欲しいと思える住宅は、市場にそれほど多くありません。

ハイブランドや高額商品が高く売れる理由の一つに、希少性があります。
住宅も同じです。

ハイクラスの住宅は、市場全体で見れば割合が少ない。
つまり、それだけで希少性があります。

安さではなく価値で選ぶお客様にとって、
「欲しいのに、なかなか見つからない住宅」
になれる可能性があるのです。

■ 利益率を下げないと売れない会社は、競争相手を間違えていることが多い

誤解を恐れずに言えば、利益率を下げないと販売できない住宅会社の多くは、販売価格そのものも低く設定しています。

その場合、競合相手は誰になるか。
飯田グループの建売や、フランチャイズのローコスト住宅です。

例えば、

2,000万円 × 25% = 500万円
3,000万円 × 30% = 900万円

同じ1棟でも、利益額は大きく違います。

ローコスト住宅は、スケールメリットのある会社が大量供給することで成立します。
動員数を増やし、短期間に数多く建てる。
だから、1棟あたり500万円でも会社が回るのです。

■ 中小零細工務店は、ローコスト勝負に向いていません

我々中小零細工務店の最大の弱みは、社員数です。

大手グループやフランチャイズのようなスケールメリットはありません。
短期間に大量供給する体制も作りにくい。

その一方で、中小零細の工務店は、たとえローコスト住宅であっても、誇りとプライドを持って丁寧に建てています。
時間をかけ、コツコツと現場を進めています。

だからこそ、一定期間に建てられる棟数には限界があります。

この構造でローコスト競争に入れば、利益は残りにくい。
つまり、中小零細工務店が本当に狙うべきなのは、
ハイクラス住宅、あるいは高付加価値住宅だということです。

■ 利益率の高さは、コストのかかる商品を作っている対価です

利益率が高い会社を見ると、つい「儲けすぎではないか」と感じる人がいます。
でも、実際にはそうではありません。

利益率の高さは、それだけコストのかかる商品を作っている対価です。
価値の高い住宅を提供するには、それに見合う投資が必要です。

良い資材を調べる。
良い工法を学ぶ。
設計を磨く。
施工精度を上げる。
メンテナンス体制を整える。

こうした積み重ねがあるからこそ、価値の高い住宅になります。

■ もっと投資して、もっと価値の高い住宅を目指すべきです

中小零細工務店が生き残る道は、安さの勝負ではありません。
価値の勝負です。

利益率を守るために価値を高める。
価値を高めるために学び、投資する。
そうやって、より高い商品へ進んでいくべきです。

なんなら、もっと投資していい。
もっと学んでいい。
もっと良い資材、もっと良い工法を探していい。

その先にあるのが、
価格ではなく価値で選ばれる住宅会社です。

■ まとめ:利益率の高さをうらやむ前に、価値を見直すべきです

利益率30%の会社を見て、
「いいなぁ」と思う気持ちはわかります。

でも、本当に見るべきなのは数字ではありません。
その会社が、どんな価値を提供しているのかです。

利益率の高さは、単なる儲けではありません。
価値の高い商品を作り、リスクを背負い、投資してきた結果です。

中小零細工務店が目指すべきなのは、ローコスト競争ではありません。
価値を高め、利益率を守り、しっかり利益額を確保できる住宅です。

そこを目指さなければ、これからの時代は厳しい。
私はそう考えています。