採用で見られる給与制度とは?中小企業が整えるべき給与テーブルの考え方

御社では採用活動をされていますか。

ハローワーク、リクルート、マイナビ、自社採用ページなど、採用の形はいくつもあります。
ただ、どの採用手法でも必ず見られるものがあります。

それが給与です。

もちろん、休日や評価制度、働く環境も大切です。
ただ、給与は最も早く、最も直接的に比較される項目です。

だからこそ、採用を考えるなら、給与制度と給与テーブルを後回しにしてはいけません。

■ 採用でも昇給でも、経営者はいつも給与に迷っています

給与を決めるのは難しいものです。

この金額は他社と比べて高いのか。
安いのか。
適正なのか。
社員は不満を持たないのか。

この不安は、採用時の給与だけではありません。
既存社員の昇給でも同じです。

毎年の昇給時期になると、
この昇給幅でよいのか。
安すぎないか。
高すぎないか。
そんな迷いが必ず出てきます。

給与制度は深い。
正直に言えば、深すぎます。

だからこそ、感覚で決めるのではなく、考え方を決めておく必要があります。

■ 給与制度は「金額」だけでなく「見せ方」まで設計するものです

自社の給与制度をつくったら、次に考えるべきことがあります。

それは、どう見せるかです。

基本給
職能給
みなし残業
各種手当
交通費

これらは単なる数字ではありません。
私は、すべてが給与の見せ方であり、設計の技術だと考えています。

最初に断っておきますが、私は社労士ではありません。
ここで書くのは法的な定めではなく、経営者として実際に給与制度をつくってきた中での考え方です。

■ 基本給は等級で大きく変えない方が運用しやすい

私のおすすめは、基本給は等級によって大きく変えすぎないことです。

特にジョブローテーションを定めている会社では、ここを複雑にすると後で大変になります。

営業から事務へ。
事務から営業へ。
設計から別職種へ。

会社を続けていると、こうした配置転換は必ず起きます。

営業で成果が出ない。
心を病んでしまい、事務職を希望する。
事務職だが対人能力が高く、営業へ転属したい。

こうした変化は、会社にとってむしろチャンスです。

しかし、基本給を職種ごとに大きく変えてしまうと、異動のたびに不利益が生まれやすくなります。
せっかく自社に尽くしてくれている社員に対して、不利益な変更が起きやすい設計は避けた方がいい。

だから私は、等級軸の基本給は、事務職を含めて大きく変えない方がいいと考えています。

■ 差をつけるなら、基本給ではなく職能給でつける

その代わり、差をつけるのは職能給です。

営業職に歩合があるなら、営業の職能給はやや低めでもよい。
技術職を重視するなら、技術職の職能給を高めに設定しておくべきです。

この考え方にすると、会社として何を重視しているのかが見えやすくなります。

住宅会社の場合、技術職と一言で言っても幅があります。

設計
現場管理
現場作業

それぞれ求められる能力も違います。
だからこそ、職能給は細かく分けておいた方が管理しやすい。

等級と職種を掛け合わせて職能給を設計すれば、誰がどの役割を担い、どの程度の水準にいるのかも整理しやすくなります。

■ 給与テーブルは「毎年考えるもの」ではなく「毎年自動で動くもの」にする

基本給と職能給。
この組み合わせが、給与テーブルの基本です。

等級と職種で計算できるようにしておけば、昇給の考え方もかなりわかりやすくなります。

これらはExcelなどの表計算ソフトで管理しておくべきです。

重要なのは、毎年ベースアップのたびに全部を手計算で見直すことではありません。
一部の数字を変えれば、全体が自動で動く状態にしておくことです。

たとえば、最低賃金を変更すれば、すべての等級と職種に反映される。
そんな計算式にしておけば、運用は一気に楽になります。

今後は、等級が上がったから給与が上がる、だけでは足りません。
毎年のベースアップも求められる時代です。

最低賃金も年々上がっています。
会社の最低基本給が最低賃金に追い抜かれないよう、常に見ておく必要があります。

■ 役職手当や家族手当は、給与の本体ではなく追加設計です

役職手当、家族手当、経験手当などは、給与制度に加わっていく項目です。
ただ、まず先に整えるべきは、本体となる基本給と職能給です。

土台が曖昧なまま手当だけ増やしても、制度全体はわかりにくくなります。

給与制度は、足し算で複雑にする前に、まず骨格を整える。
この順番が大切です。

■ 給与テーブルは、会社の資産になります

社員は企業活動に必要な存在です。
私は、雇用そのものが地域への貢献の一つだと考えています。

同時に、企業を持続させることも経営者の役目です。
一人でも社員がいるなら、後継者や次の世代の準備は常に考えておく必要があります。

給与テーブルの作成は大変です。
かなり考えます。
迷います。
何度も見直します。

でも、考え抜いてつくった給与テーブルは、今後の会社の資産になります。

そして社員にとっても、自分の将来設計が見える給与テーブルはありがたいものです。

だからこそ、給与テーブルはつくるべきです。
できれば、社員に公開できる状態まで持っていくべきです。

■ 最後に

採用を強くしたい。
人材を定着させたい。
社員に安心して働いてほしい。

そう考えるなら、給与制度と給与テーブルは避けて通れません。

見せ方まで含めて設計された給与制度は、採用にも効きます。
既存社員の安心にもつながります。
会社の持続にもつながります。

給与テーブルの作成は面倒です。
ただ、その面倒を乗り越えた会社だけが、採用でも組織づくりでも一歩先に進めるのだと思います。

社員の構成に応じた給与テーブルの作成や割り当てについては、セカンドオフィスでも対応しています。
必要であれば、お問い合わせください。

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