社員数から売上目標を決めるのは逆|工務店の「適正売上」は最大処理能力で決まる(第2回)

前回は「売上に適正値はない。大切なのは考え方」とお伝えしました。
今回は、その考え方の中でも一番多い勘違いを潰します。

社員数が何人だから売上は〇〇億、は順番が逆です

よくある計算があります。

社員数が10人だから売上は〇億。
社員数が5人だから売上は2億。

目安としては分かります。
でも、これを目標にすると危険です。だいたい現場が先に悲鳴を上げます。

なぜか。

社員数は「処理能力」ではないからです。
同じ10人でも、回せる量は会社によってまったく違います。

監督の経験、職人の固定力、標準化の有無、外注比率、仕様の複雑さ。
条件が違えば、同じ人数でも“現場の回転数”が変わります。

売上目標は「最大処理能力」から決める

売上を決める順番は、こうです。

1 年間で回せる現場数(最大処理能力)を出す
2 1現場あたりの平均単価を出す
3 粗利率をかけて、必要な利益を出す
4 その利益で昇給や採用ができるかを見る

売上は最後です。
先に「どれだけ回せるか」を決める。

ここを飛ばして売上だけ追うと、起きるのはこれです。

現場が詰まる
品質が落ちる
クレームが増える
社長が現場に出続ける
結果、売上は伸びない

最大処理能力は「気合い」ではなく、ルールで決めます

ここで多くの社長がやりがちな間違いがあります。

「頑張ればいける」
「なんとかなる」
「今年は気合いで回す」

これ、経営ではなく根性試験です。
しかも合格しても賞品はなく、体だけ削れます。

最大処理能力は、ルールで決めます。
具体的にはこの3つです。

1 現場監督1人が担当できる同時進行数
2 主要工程に必要な協力業者の確保状況
3 社長が判断している業務の量(社長依存)

この3つが決まると、現場数の上限が見えます。

まずは「年間の現場数」を出す。ここが出せないと売上は語れません

いきなり完璧な数字はいりません。
まずは、ざっくりでいいので出します。

昨年、無理なく回せた現場数は何件か
ギリギリ回せた現場数は何件か
品質が崩れ始めたのは何件目か

ここを出すだけで、目標売上は現実になります。
人口や社員数の話より、よほど精度が高い。

そしてもう一つ重要なのは、ここです。

「無理なく回せた現場数」が、あなたの会社の現在地です。
増やしたいなら、増やすための条件を作る必要があります。

売上を伸ばす前に、社長依存を減らさないと処理能力は増えません

小規模企業の処理能力を止めている犯人は、だいたいこれです。

社長が判断している仕事が多すぎる

現場判断、仕様決め、クレーム対応、協力業者の手配。
これを社長が握っている限り、上限は社長の体力で決まります。

売上が伸びないのではありません。
社長の上限が低いのです。

だから、前回の話に戻ります。

採用するなら組織になる
組織なら役割を定義する
役割を定義するなら社長の仕事を配る

これができて初めて、現場数が増えます。

まとめ:売上の適正値は「回せる量」を決めた後に出す

第2回の結論です。

社員数から売上を決めるのは逆
先に最大処理能力(回せる現場数)を出す
その上で単価と粗利をかけ、売上の現実解を作る
処理能力を増やすには、社長依存を減らす必要がある

売上は「目標」ではなく「結果」です。
結果を作るのは、処理能力の設計です。

次回予告:売上の上限を決めるのは営業ではなく現場です

次回(第3回)は、さらに踏み込みます。

売上の上限を決めているのは営業力ではありません。
現場と工程です。

監督の負荷、標準化、協力会社、仕様の絞り込み。
ここを整理すると、売上を上げても現場が壊れなくなります。

続きも読んでください。次回から、より実務になります。